無縁社会

NHK「無縁社会プロジェクト」取材班による「無縁社会」”無縁死”三万二千人の衝撃(文藝春秋社)を読んだ。放送された番組も見たし、十分に衝撃を受けていたが、改めて、活字で読んでも、さらにショックだった。

映像をみていると、それに流されて、深く考えなかったのだが、本になったものを読むと、読み返しをしたりで、実感が深まる。夜、寝る前が読書の時間、この夜は7回もトイレに起き、とうとう熟睡できないままに終わった。

この本は以下の7つの章に分かれている。
第一章:追跡「行旅死亡人」
第二章:薄れる家族の絆
第三章:単身化の時代
第四章:社縁が切れた後に
第五章:”おひとりさま”の女性たち
第六章:若い世代に広がる”無縁死”の恐怖
第七章:絆を取り戻すために

我が家はつれあいと私の老人2人家族、老老介護がまじかに迫っている。またどちらかがどうかなったら、残る一人はどうすべきか、が話題にもなっているこのごろだ。山村生活もいいけれど、一人ではさみしすぎる。

今度の東日本大震災で、幾多の家族が数世代が同居するスタイルだったことに驚いた。孫が祖母の面倒をみつつ9日後に救助されたケースもある。もちろん単身の家もあっただろうが、ほとんどが核家族ではなく、昔のような大家族で暮らしていたようである。

我が家のケースに戻ってみて、子供たちは忙しいので、直接のコンタクトは希薄である。ときどきメールのやりとりはあるが、返事をしなかったからといって、様子を見に来ることもないだろう。こちらからも同様だ。ふつうに生活している場合は、なんでもないようだが、無縁の要素はたっぷりある。

先日、キャンディーズの田中好子さんが亡くなられて、多くのファンが参列した。彼女の場合、19年の結婚生活をおくった夫がいる。その家族の墓に入るのだろう。しかし、死亡前に録音されたメッセージに、あまりに夫への言及が少ないのに驚いたが、彼女のどういう意図があったのだろう。

子供のいない芸能人など、最後はどうなるのだろうと、昔のミーハーは考える。たとえば、安井かずみさん、夫はその後軽井沢で自殺したが、妻同様の人がいて、その人に遺産を残したとか。お金はともかく、祭事はどうなるのだろう、と考えた。

本を読んでショックを受けたのは2晩で、結局は、日常の些事に追われ、どうでもよくなってしまったが、昔、大家族で11人での生活をしていたときには、考えもしない事象だなと、思った。当時、両親のほか、祖母(父の継母)、大叔母(亡祖父の妹)、伯母(父の姉:出戻り)、叔母(父の妹:やはり出戻り)とその娘、母の違う長姉、姉、私、弟、複雑で小さい私には関係が分からなかったけれど、無縁社会とは別物の世界だった。

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