フランスの家族関係

今回のフランス行きで、痛感したことがある。それは家族、親子であり、兄弟姉妹であり、甥姪との関係の親しさである。

日本に比べ、フランスは個人主義なので、親子関係は冷たく、孤老の問題が深刻である、といった説が流れていたことがあった。タイトルは忘れたが、そんな問題を扱った映画もあったし、2006年の夏だったか、酷暑の中で、一人暮らしの老人の死亡が多発し、大問題となった。死亡した老人の家族に連絡をとると、ヴァカンス中なので、帰れない(帰らない)、適当に埋葬しておいて、という子どもも多かったそうだ。

90歳になった代父・母は、パリで二人きりで暮らしている。しかし、親戚間の交流は多い。まず電話がよくかかってくる。1日一度も電話のならない日が連続するわが家とは大違いだ。二人きりの生活を心配している甥姪からのご機嫌伺いもある。

90歳のお祝いをしたのは、代父の甥である。彼は代父の兄の一人息子で、父親を早くに亡くしたあと、叔父である代父の学資援助などもうけて、高等教育を受け、実業界で成功している。
そのほかの出席者は、代母の姪夫婦(代母の兄の3女)、甥夫婦(代母の妹の長男)であった。
2年前、88歳のお祝いを企画したときと、同じメンバーである。

3組の夫婦は、いづれも小さい時から、代父・母に可愛がられてきている。私同様、洗礼の代父・代母になっていることもある。幼児洗礼であるから、その親しさも歴史ともなっている。
フランスでは、復活祭、クリスマスのほか、誕生日やなにかと家族のあつまりがけっこうある。洗礼や初聖体拝受といった宗教儀式もそうだし、結婚式も親戚総出演の場である。

そんな中に日本の娘として、私も仲間入りしているわけだが、その親密さに羨ましさを感じる。というのも、わが家も夫婦二人きりの生活をしているが、子どもはともかく、甥姪からの電話など、絶無なのである。小さい時はずいぶん可愛がったものなのに、と思ったりするが、それはこちらだけの思い込みらしい。

隣の芝生かもしれないが、やっぱりうらやましい。かといって、こちらから甥姪に電話をすれば、用もないのにかけてきて、とうるさがられるかもしれないし、どちらさま?と言われるかもとそれがこわい。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。