カジノ

人生で4回、カジノに足を踏み入れたことがある。最初はモナコ、2度目はマカオ、3度目はカイロ、4度目はもう一度モナコである。

最初のモナコでだけ賭に勝った。昨日書いた旧友が南仏に住んでいたとき、彼女が働いている昼間、独りでモナコへと行った。モナコのカジノは有名で、このあがりでモナコ国民は税金を払わなくていい、などと聞いていた。昼の日中から賭場に行くなんて、小心者の私にはおおっぴらにはできないことだけど、これは観光、社会勉強の一つであると、理屈をつけて入った。

モナコのカジノは、夜は正装でないと入場できないが、昼間はラフな服装でも大丈夫なので、その点は気楽だ。当時は若かった。不慣れな様子をみてとったカジノの人が、やり方を説明してくれた。複雑な賭けはできない。スロットマシーンやルーレットなら簡単だ。ルーレットのところにいくと、どこに賭ければ賭け金が何倍になるか、と説明してくれる。

ややこしいことは苦手、数字に賭けることにする。私のラッキーナンバーと信じている数字の上にチップスを置く。「きっと当たるよ」と言ってくれる。どきどきしてルーレットが回る様子を見守る。なかなか止まらない。やったー!!!!ラッキーナンバーの上で止まった。

10フランが300フランになって返ってきた。血がのぼってくる。300フラン分のチップスを受け取るが、10フランのチップスだから30枚、両手にあまる。

あとで知ったことだったが、こうやって儲けた場合、ルーレットを回すひとにチップを渡すのだそうだ。そんなことを知らない小娘、全部受け取ってしまった。

そのせいだろうか、そのあとはすべてはずれであった。

それでも貧乏人の性格で、200フラン分を換金し、カジノを後にした。入場券は終日有効だから、夜にもまたおいでと言われたが、儲けた200フランをする気持ちはない。

そして友人のところに戻り、不労所得の使い方としてはまっとうに、友人とその配偶者をレストランに招待して、南仏最高というブイヤベースをたらふく食べたのである。

マカオ、カイロ、そして再度のモナコ、その後ある体験から、お金は額に汗してのみ得ることにした私はカジノでは見るだけである。

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