減築の時

我が家は一般常識からいえば、狭い家ではない。老夫婦二人だけには十分な広さだ。しかし、使い方を固定しているせいか、もっと自由なスペースがほしい、寝室も別にしたい、ゲストルームももう一つほしい、などと増築をつれあいに提案した。

とんでもない、と即時に拒否された。今は減築を考える時だと言う。現実的には減築は無理な構造だが、増築と反対の考え方を示されたのに、びっくりだった。これまで、家は拡大、増築させていくものだと思っていた。それを用途にあわせて、縮小、つまり減築することが普通になってきたというのだ。

今、日本の状態は、縮小させていく時なのかもしれない、と思う。以前は「大きいことはいいことだ」とばかりに、なにもかも1サイズ大きいもの、機能はたくさんあるもの、「大は小を兼ねる」から大きくしておけば、と思っていた。また、アメリカ式消費スタイルが目標で、寒い冬でも、家の中ではTシャツでいられるように、暖房をがんがんかけて、車は大型で排気量も多いもの、アイスクリームは一度に3ボール以上(カルフォルニアのディズニーランドでその量にびっくりした)、なにもかもがたっぷりが理想だった。

どこまでその生活程度に到達しただろう。暖房はいつまでも集中暖房にならず、部屋ごとに行っている。車は軽、洗濯機は全自動になったものの、乾燥機は別だし、なるべく太陽の恩恵にあずかるようにしている。
とうとうアメリカ並みにはならなかった。

そして今、それでも電力が足りないと言われている。どこを縮小させるのか、これからしっかり研究していくことになるが、「家屋は夏をもって旨とすべし」に建てなおすことになるのだろうか。我が家は寒冷地にあるので、やっぱり冬を旨にしたいし、「おしん」的生活はできない。

どこまで縮小した生活にできるか、自分だけ縮小可能なのか、いろいろジレンマが多い。

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