結婚について

私事で恐縮だが、4月某日はつれあいと私の入籍記念日だ。結婚記念日ではない。結婚式、つまりは宗教的な式や披露宴をしなかったため、結婚記念日に相当するものがない。結婚届けを提出した日しか、特定できないのだ。

私は一応、この日付を覚えているのだが、つれあいはあまり記憶がないらしい。というのも、つれあいは外国にいて、入籍をしたのは、私一人(証人として友人は同行したが)で区役所へ行ったのだ。つれあいが外国の任地で、結婚届けを作成し、私に送ってきた。それを4月某日(別に大安でもないが)、友人と昼休みに区役所に行き、提出しただけだ。

こういう形で結婚が成立したと、フランス人に話すと、信じられないという。彼らの結婚は、新朗・新婦がそろって、役所で式をあげる。市町村長、あるいは助役が双方に結婚の意思を確かめ、双方がウィと返事、そこでこの結婚が成立したことを市町村長が宣言する。戸籍に載せて、晴れて夫婦となる。

宗教的な結婚は、この民事上の結婚が終わったあとでしかあげることができない。民事優先のこの方式は、フランス革命時に、宗教の影響力をそぐ意味で決められたものだ。ナポレオンもジョゼフィーヌとの結婚は区役所で行っている。日本のように、結婚式場内の神社や教会で式をあげ、披露宴も盛大にやったものの、籍を入れ忘れたといったことは、フランスではありえない。

結婚は紙一枚の手続きよと、現代の事実婚をしている人たちはよく言うが、なかなか重いものだ。日本では特に公的な場には、正式な結婚をしていなければ、夫婦そろって出ることはできないと言われていた。

しかし、そうでもない事実を先日、目にした。オーストラリアのギラード首相来日の時である。天皇・皇后両陛下との謁見時、皇后陛下と懇談している男性は、首相のパートナーという紹介であった。つまりミスター・ギラードではなかったのである。正式な夫婦でなくても、外国の首脳の場合は受け入れられるのだな、と思った。

4月29日はイギリスでロイヤル・ウェディングが行われる。ウィリアム王子とケイト嬢はもう10年も同棲生活を送っていたのだそうだ。何をいまさらという感がしないでもない。
今回の大震災以来、結婚を望む若い人たちが増えたそうだ。不安な状況に一人で立ち向かうのが心細いらしい。頼りがいのある配偶者がみつかるといいのだが。

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