アイロンかけ

洗濯ものが乾いたら、次はアイロンかけが待っている。これも電気が通っていることが前提だが。
パリの寄宿先のお手伝いさん、火曜日に洗濯、木曜日はアイロンかけの日だ。台所のテーブルにネルと木綿の布を敷く。これがアイロン台になる。スチームアイロンにいれる水、以前は冷蔵庫についた氷をとかして使っていた。蒸留水に相当するのだそうだ。今は市販の蒸留水を使っている。パリの水道は、石灰分が多いので、スチームの吹き出し口がつまってしまうので、水道水は使えないのだ。

ノーアイロンとわかっているもの以外はすべてアイロンをかける。シーツ類、タオル類、下着、彼女のアイロンかけがすんだものは、まるで新品のようにみえる。いつも見学しているが、たいしてこれはというかけかたではない。それなのに、仕上がったものをみると、ぴしっとなっている。

フランスではアイロンかけは大切な家事の一つだ。私も見習わなければと、日本に帰って、しばらくはすべてアイロンをかけていた。やっていられない。毎日洗濯、すなわち毎日アイロンかけの仕事がある。最初にシーツ、次にタオル類、そして下着のアイロンかけをやめることにした。


つれあいはそれが不満だった。「そんなにおいやですか?」と聞いてきた。「いやです。どうしてもアイロンがかかったものをきたかったら、ご自分でどうぞ」と返事した。それ以来、我が家は下着にアイロンはかかっていない。

アフリカではアイロンかけは必需である。殺虫の意味もあるからだ。電気のあまりないところで、アイロンのかかっているものを着る。贅沢な生活だった。

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