母のカーディガン

今日は12月16日、たしかベートーベンの誕生日です。同じく誕生日の友人がいます。彼はベートーベンほど有名ではなく、音楽家でもありません。共通項は男性であることでしょうか。

母の形見のカシミアのカーディガンがぼろぼろになりました。肘や袖口、ほつれたり破れたり、さんざんな状態です。一挙に劣化が進んだようです。

確か、私が最初の外国旅行でイギリスに行った時、おみやげとして買ったものです。濃いブルーで、少し長めの丈、V字のネックです。ロンドンのスコッチハウスで買ったのを覚えています。当時、カシミア製品はとても高くて、母にだけカシミアを買ったのでした。

母が亡くなった時、衣類の中から、持ってきました。買ってから30年以上たちます。母が亡くなって8年、私だけでも8年は着ているのです。もう十分、役目を果たしたといっていいのでしょう。この冬の間、一応とっておいて、少しずつ覚悟していきましょう。

古い服の処分をするとき、いつもフランスA家のお手伝いさんを思い出します。今は午前中8時から12時までの家政婦さんですが、スペイン人です。彼女はいつもどこの奥様か?と思わせる服装をしています。それもそのはず、彼女が働いている家はほとんどすごいブルジョワですが、そこの奥様たちからのお下がりなのです。

品のいいツイードのスーツ、時には毛皮のコートを着ていることもあります。彼女は洋裁もできるので、お下がりでもらった服を、自分のサイズに直してきています。

フランスのブルジョワ家庭は、物持ちはとてもいいので、それらの服はもう十分着られたものでしょう。そのお下がりをまた丁寧に着続けていくのです。

日本でだと、奥様のお下がりはありがたがられないでしょう。お古より、ユニクロの新品がいいわ、といわれそうです。

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