90歳の運転

昨日、運転免許の更新にいってきました。これから5年間、近日交付される免許証を使うことになりますが、5年後には高齢者になります。そうすると、更新の手続きの前に、高齢者講習なるものを受けて、その証明が必要になるのだそうです。75歳以上になると、講習予備検査(認知機能検査)を受け、その結果に基づいた高齢者講習を受けるのだとか。

フランスでは免許証は一度交付されると、死ぬまで有効でした。今、どうなっているかはっきりは知りませんが、75歳?あたりから、検査をうけるようになっているようだ。現在90歳の代父は、一度検査にいって、問診をうけたといっていた。ばかばかしいと評していたが、一部形式的に行われている感もあった。

90歳でも普通に運転している事実を、日本におきかえるととても異常に思えるのだが、フランスで彼の車にのると、そんなものかと思ってしまう。上手な運転ではけっしてない。同乗していて、とてもこわい。恐怖感すら覚えている。90歳の運転だからかというと、そうではない。彼の運転は、昔から恐怖だった。
運転中、話に夢中で、ハンドルから手を放したり、前方をみず、助手席に顔をむける。後方に注意せず、止めたいところで車をとめる。車線変更は自分の思いのままだし、方向指示器を出したまま戻さない。

助手席にのると、ドアの上部にある把手をしっかり握りしめて、急発進、急ブレーキなど様々な要素に対応するようにしている。
大会社の会長までした人なのに、車の粗末なこと。大衆車にのり、傷だらけである。後部を確認しないでバックしたり、小さな事故は多いようだ。

自宅から空港までも送ってくれるという申し出に、タクシーでいくからお構いなくと言うと、"Pourquoi?"(なぜだ)と返ってくる。彼の気持ちを傷つけないよう、空港までの道は混んでいるから疲れるだろう、往復で2時間以上かかるから、その間、代母を一人にするのは心配だ、などと答えると、そんなのは理由にはならないという。
自分の運転が乱暴というのか?と直球でくるので、そうだと返事をする。乱暴にせよ、大事故をおこしたことはない、という。

それが問題だ。あの運転ではいつ事故っても不思議はないのだが、また事故の原因になりそうなのに、自省はない。事故がおきなかったのは過去。これからのことはわからない。

600キロ離れたブルターニュの別荘へ行くとき、さすがに1日でのドライブは避けているそうだ。2日の行程にしたらしい。
日本では免許証を返上するシステムがあるけれど、あなたはいつ返上するつもりですか?と問うと、返上なんかしない、との返事。運転をやめればいいだけの話だろう、と言う。それはそうだ。今のところ、頭も体もしっかりしているから、運転を止める気はさらさらない、まず、パリでも買い物などに必要だし、別荘にも行けなくなる、と至極もっともな話である。

私はとても90歳まで運転できるという自信はない(生きている自信もないし)。そういえば、フランスの免許証はまだ所持している。フランスでなら、やってみるか。


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。