5月1日

5月1日は、メーデー、フランスならプリミエ・メとなるが、Fete du travailである。労働者の祭典、この日は国家の休日になっている。労働組合の主催で、大デモ行進が行われたりする。

日本では5月1日が休日ではなく、ゴールデン・ウィークの中で、集まる(集まれる)人の数も限られるというので、5月1日にはこだわらなくなったようだ。

労働組合、これは労働者のための組織のはずだが、一部の労働者の、という枕詞がつきそうだ。私は、大学を卒業した年の9月ころから、途中、外国旅行の期間を除いて、30年近く働いたはずだが、一度も労働組合には加入しなかった。できなかったというのが本当だ。

最初に働いたテレビ局では、アルバイトで1年半の有期契約だった。その契約終了時、上司が正社員になれるよう、推薦してくれた。給与もいいし、労働条件も恵まれた職なので、正社員になれることは喜びだった。ところが、人事部長から呼ばれ、労働組合が介入してきたので、正社員にすることはできなくなった、と告げられた。
つまり、一人だけ例外的に正社員にするのではなく、アルバイト全員を正社員化するように、と言ってきたのだそうだ。

正論かもしれない。しかし、アルバイトはほとんど選抜なしで雇用されているので、レベルもいろいろだった。正社員にしても、能力ないのに、と思う人もいたけれど、身分は保障されている。結局、労働組合の正論は、会社側が拒否するので、私だけを例外にすることは、会社も労働組合も認めることはできず、契約切れとなってしまった。

次に働いた小さな会社には、労働組合などはなく、またフランス語を勉強するため、パートタイム的な働き方をしたので、組合を考えることはなかった。

最後の職場となった外国機関は、組織としては十分大きかったが、外国機関でもあり、労働組合はなかった。労働条件は、言われるまま、個々の契約となっていた。そういう機関で働けるというだけで、満足していたので、労働組合など、考えもしなかった。社会保険(健康、厚生年金、失業保険)にも加入していない組織だったが、最後のころに、厚生年金に加入することになり、そのとき、日本人職員だけの集会ももたれたが、結局、労働組合の結成にまではいたらなかった。

とうとう、労働組合と縁のない生活になってしまったが、若いころ、考えていた労働組合と実体が結構違いがあることに気付いた。だから、メーデーでの労働者の要求には、なかなか然りとうなづけないものがある。彼らの要求が、少し社会から浮いているように感じるのは、私だけだろうか。

ところで、5月1日、フランスでは「スズランの日」でもある。愛する人にスズランを贈る。つれあいは忘れたわけではないだろうが、この地のスズランは5月末のこと。月遅れの「スズランの日」でも祝うことにしよう。

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