辞書・事典大好き

先日、本屋大賞が発表された。今年の大賞は、三浦しをん氏の「舟を編む」という本だった。三浦氏の著作は、いくつか読んだことがある。だからきっと面白いだろうと思った。村の図書室にいくと、ちょうどその本が近着コーナーにあり、早速借りてきた。

もう42万部も売れているという。本屋大賞は、直木賞などに対抗して、賞とは縁がないけれど、応援したいという著者・著作を本屋という現場から推すための賞なのだそうだ。三浦氏はもう直木賞も受賞し、作家としても売れっ子だから、本屋大賞をあげる必要もないらしいが。

この「舟を編む」というのはまた面白かった。国語辞典を編纂する編集者たち、あるいは編纂の主役となる学者を組み入れてのストーリーなのだが、「言葉」というものが、こんなに深く扱われるものだとは思わなかった。実際は、こういう世界があることは承知していたが。

自分でも外国語の言葉集めをしたことがある。そのとき、出典というのがとても大切であることは、先輩から注意をされていたのだが、面倒なのでほとんど省略していた。出典がなければ、信憑性もないらしい。自分のメモ用として作っていたので、それはそれでいいのだが、人に紹介するとき、出典がないことで説得力を欠くのだ。

外国語から日本語へ翻訳するとき、わからない言葉を調べる。辞書1種ではすまない。何冊かチェックする。そのとき、辞書によって、訳語の種類が変わることがある。古典的なことに詳しい辞書、新語がたくさんはいっている辞書、特徴があることに気付く。

「時事フランス語、読解と作文のテクニック」(彌永康夫著)という本がある。フランスの時事問題を解説しつつ、仏訳するテクニックを教えてくれる本だ。そこには、訳すべき文章に書かれた状況や裏の事情などを勘案しつつ、和仏の辞書ではなく、仏仏で調べることで、かつ仏仏にあることば一つ一つを、どれが一番適切かということを考えるようにと著者は言う。

このごろ、いかにも浅い、軽い言葉があふれているから、こういう言葉を大切にする本を読むと、うれしくなる。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。