セメント・ベイビー

「子連れ再婚を考えたときに読む本」(新川てるえ著)という本を読んだ。日本でもお互いが子連れで再婚するカップルが増え、それらの新しく構成された家族をステップ・ファミリーとよぶことは知っていた。

昔から、英語では継母のことをステップ・マザーと呼び、配偶者の母親はマザー・イン・ロウと呼ぶことを知っていたので、そうか、義理の仲の家族としての呼び名としては適当なのだろうと思っていた。

フランスでは再構成家族(famille recomposee)となる。そして舅・姑、継父・継母の別なく、beau(男性)またはbelle(女性)がつく。つまり義理の父であればbeau-pereであり、母であればbelle-mereである。
フランスではもうずいぶん以前から当たり前になったことなのだが、日本では離婚そのものが近年になっての増加なので、ステップ・ファミリーとして脚光を浴びたのも最近である。

とても示唆に富む内容であるが、その中で、セメント・ベイビーということばがあった。この言葉は初めて知ったので、その呼び方のあまりの唯物的な表現にびっくりした。
セメント・ベイビーとは、各自の連れ子のほかに、新しい結婚によって誕生した子のことである。アメリカで使われ始めた言葉という。

セメントは、新しい家族のきずなを固めるという意味で使われているようだ。また著者によると、セメントは絆を固めることもできるが、ひび割れの原因にもなるという。
この表現はフランスの資料ではみない。フランスでは片親が違う場合、半分兄弟姉妹というようなdemi-frereまたはdemi-soeurという表現を使うけれど、これは兄弟からの呼び名である。

必ずしも情緒的な造語が望ましいとは思わないけれど、やっぱり「セメント・ベイビー」という呼び方はしっくりこない。なにかいい呼び名はないのだろうか。


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