真逆のSDF

お昼のフランスのニュースを見ていたら、SDFという表現がでてきた。普通にはSDFはsans domicile fixeつまりホームレスのことを言う。ところが、今日のニュースで扱っているSDFは全く異なっている。Sans difficulte financiere、金銭上の問題のない人、つまりはお金持ちのことだ。

4月と5月に予定されているフランスの大統領選挙で、社会党候補が優勢という報道である。1982年のミッテラン大統領選出の時もそうだったが、保守政党から社会党にかわると、富裕層への扱いが変わる。今まで得られていた税制上の優遇措置がなくなったり、あらたな税金が課せられたりするようになる。そんな恐怖から、富裕層たちがフランスから逃げ出そうとしているというわけだ。

行き先はスイスやベルギーが多いようだ。ベルギーの首都ブリュッセルには、フランス人通りと呼ばれるほど、フランス人の住居が多い通りがあるという。
ベルギーならどういう優遇措置があるのか、詳しくは知らないのだが、私の親しいフランス人も、一時ベルギーに税金逃れで住んでいたことがある。成功した事業を売却し、売却益に税金がかからないように、移住したものだ。ブリュッセルに豪華な住まいを購入、ベルギーの会社に投資して、税制上の制約をクリアし、数年を経て、フランスへ戻った。

ブリュッセルとパリなんて、近いものよ、フランス国内の移動とそう変わらないのよ、と、年老いた両親を5週に1回の割合で介護に戻っていたが、不便はないと言っていた。
日本人の感覚からいえば、外国に移住となると、覚悟のいることだが、ベルギーならフランス語も通じるし、鉄道も高速便がある。電話もインターネットも、フランス国内と同様の仕様でできるらしい。

生活費の点で安くなるからと、マレーシアやタイ、フィリピンに老後の生活を移す人はいるけれど、政権が変わる可能性があるからと、移住しないだけ、日本の税制や政権はいいと考えられるのだろうか、それとも選択の余地がないだけだろうか。


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