最低賃金(2)

フランスのニュースをチェックしていたら、12月1日より最低賃金がアップするという記事をみつけた。フランスの最低賃金はSMIC(スミック)と呼ばれる。これはSalaire minimum interprofessionnel garanti(最低保障賃金)の略である。

これは全国一律(海外県を除く)であることが、日本とは異なる。日本は県別で最低賃金が異なり、東京都が最も高額であり、わが群馬県は、沖縄県より多いけれど、下位に属している。日本も物価上昇にあわせて最低賃金の見直しが行われるけれど、フランスも同様である。

フランスの最低賃金の見直しは、労働法では毎年1月1日となっているが、今回、異例の措置として、12月1日に2,1%のアップがされている。2012年1月1日には、再度、きわめてわずかな見直しが行われる予定らしい。

増額になった最低賃金は、時間当たり9,19ユーロで、法定労働時間である週35時間で計算すると、月額が1393,82ユーロとなる。日本円にすれば、レートによりけりだけれど、1ユーロ=110円(これは私が妥当と思うレート)として、時間あたりが1010円、月額が15万3320円となる。

日本では700円台後半の最低賃金が多いから、それに比べると、相当恵まれている。勿論、最低賃金以下で働かざるを得ない闇の労働者もいる。違法入国の外国人など、あるいは若者など、SMIC以下とわかっていても、働くことになってしまうケースが多い。

フランスでは、歴史的な経緯があるけれど、労働者の権利が日本より強いように思う。最低賃金もしかり、有給休暇制度もしかり、労働時間もしかりである。
フランスの機関で働いていた時、日本のある国家公務員から、フランスにおける有給休暇消化率についての問い合わせがあった。いろいろ資料を調べたが、消化率などということばがみつからない。そんなデータもない。
フランス人に聞いてみると、ほとんどの人が全部消化するのだから、そんな統計存在するはずがないと、かえって質問を不思議がられたことがある。

それかといって、労働者天国かと言えば、そうでもない。失業率は10%に近く、25歳以下の若者の失業率はもっと高い。正規の労働者だけが、厚く保護されている。難しさは、彼我共通の問題だ。

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