諸聖人の祝日

11月1日は、フランスでは国の祝日になっている。諸聖人の祝日だ。宗教的な祝日なのに、日が固定されているのは、8月15日のマリア被昇天祭と同じである。

この日は、一般に墓参りの日とされている。亡くなった家族や友人の墓に参る。菊の鉢植えを備える人が多く、この時にあわせてお花やさんには菊の鉢がたくさん並べられる。墓地の入り口あたりには、特設スタンドもできる。

11月1日にあわせて、メディアは死に関するニュースを報道する。葬儀についてもそうだ。F2の放送を見ていたら、フランスでも火葬をする人が増え、埋葬の30%を超えたということだ。
埋葬については、お國によって違うものだ。フランスでは土葬が普通で、火葬をするには特別の手続きが必要だった。おそらく今でも同意書が必要だろう。しかし、墓地もだんだんに不足したり、死後のことについても、考えが変わってきたようだ。

日本では、東北地方大震災のあと、火葬場不足で、死者の多くがいったん土葬にされた。早く荼毘にふしてあげたいと、遺族の方々が申し訳なさそうに、仮埋葬の場所でお参りしていらした姿が印象的だった。日本では、火葬にふすということが、死者を送る作法になっている。

イスラムでは、土葬でなければならない。日本で亡くなられたイスラム教徒の方々は墓地を確保するのに苦労しているようだ。

今日の放送で、葬儀費用は平均で3100ユーロかかるとか。日本円にすると35万円ほどだから、ずいぶん安いような気もする。以前は、葬儀屋さんは、たしか地方自治体が経営していたが、規制がとれて、民営化されたはずだ。葬儀費用について、あまり事前に費用の提示がなく、明朗会計ではないようだ。
そしてこの10年で34%アップしたというが、あまり高くならないうちにすませましょう、というわけにはいかない費用である。

このごろ、日本では通夜をすることなく、病院から火葬場へ直接運んでの直葬というのがあるらしいが、批判もあるようだ。家族葬にしても、近しい家族はいいが、告別式などがないと、友人・知人がお別れできず、心のけじめがつかないという。葬儀は死者のためではなく、生きている人間のためなのだそうだ。
そうしてみると、葬儀自体も考えなければ。



この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。