飲み物の自動販売機

外で自由に飲み物を飲むことができるようになったのは、いつ頃からだろうか。20代のころ、友人に帰国子女がいた。英語風の日本語を少し話し、会話は英語の方が多かった。挙措はまったくのアメリカ人風であった。
片手に缶入りのコーヒー、片手に煙草をもって、歩いたり、電車にのったりしていた。

それまで、私が受けた教育あるいはしつけは、立ち食い、立ち飲みは行儀が悪いというものだった。飲み物を飲むのは、ちゃんと座る場所のあるところ、大体は食事の場や、喫茶店といった、飲み物を提供する場でなければならなかった。

ところが、海外にいけば、立ち食い、立ち飲みは普通のことだ。フランスでは、パンやさんで買ったバゲットのサンドイッチをかじりながら歩いている人もいる。お菓子屋さんでは、エクレアなど1個買いをして、すぐに食べる。これまで、ケーキなどは、家に持ち帰り、紅茶などをいれて食べるもので、歩きながら食べるなんて、常識がくつがえった心境だった。

でも日本に帰れば、まだまだ行儀が悪いとみられていた。だから、帰国子女と一緒にいるときは、英語で話しながら、私は日本の常識にとらわれないニュータイプだからとばかり、彼女と同じように、片手に飲み物、片手に煙草などをもち、街中を闊歩したものだった。

行儀が悪いというその意識が古いものに思えてしかたなかった。その行為をとめようとするのは、古い権威主義の表れで、新しい、若い人々には、そういう規範を破る権利があるものだと。

今や、いたるところに自販機があり、その場でも、歩きながらでも、ほとんどの人は飲み物を自分でもっている。熱中症予防とか、なにかとすぐに飲み物をとることが奨励されている。
医学的にはそうなのだろうが、年齢を重ねると、時や所を選ばずに、のど仏をみせながら飲んでいる様子をみると、みよいものではないなと思ってしまう。

やっぱり、きちんと座って、コップや湯飲み茶わんなどを使って、いただくこと、そんな姿勢のほうがいい。礼儀作法がだんだん消えていくような印象のこのごろ、歩きたばこを禁止する区などもできたけれど、立ち飲み禁止もしてはどうだろうか。

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