八ツ場ダム再考

先日来、八ツ場ダムの建設が再検証されたそうだ。国土交通省関東地方整備局が担当しているのだが、「ダムが最善」という総合評価を出したそうだ。

9月14日の朝日新聞の記事によるのだが、「ダムが最善」というのがわからない。ダムの建設目的、どんな選択肢があったなかでの最善なのか、説明がないからだ。そういったことは、もう説明不要と考えてのことかもしれないが、新聞記事としては非常に不親切だなと思った。

そもそもこのダムの建設目的は、カスリーン台風で利根川が氾濫したことをうけて、治水対策でダム建設がきまったと聞いた。とすればこのダムの目的は治水となる。ところが、利水、水道水確保のため、このごろは、福島原発事故をうけて、水力発電まで目的に加わったらしい。

ちょっと待って、と言いたい。治水と利水では目的が違いすぎる。この1週間の紀伊半島での豪雨被害を見ていると、ここにダムを造っても、同じようなことになりかねない。上流からの土石流は、ただでさえ、吾妻川をみていると、その可能性が感じられる。平時でも、すぐに土石がたまって、その除去に多額の費用がかかりそうだ。

水力発電所を作るとなると、上流にある、小規模の水力発電所は無駄にするのだろうか。発電量としては、これまでの小規模発電所の合計が、八ツ場ダム一つで発電するより多いという。そしてもし八ツ場ダムが発電所として機能するようになれば、上流の発電所は水不足で稼働できないのだそうだ。

さんざん映像に露出して、名所となったダムにかかる橋は完成した。一度、興味をもって渡ったことがある。吾妻峡谷の道から、ずっと山の手にバイパスができ、そこからその橋への道がある。名前も知らない橋、車のナビにも載っていない。渡ったものの、その先、なにもない。集落にはぐるぐる回って降りる道があるが、用事もないので、ユータンした。橋上からの眺めはよさそうだが、一人運転で、運転席からは見えないし、交通量が少ないから、橋上真ん中で駐車しても、交通の妨げになりそうにもないが、優良運転を心掛けているので、それもできなかった。

ダム関係の工事では、道路整備もだろうが、まだ吾妻線の工事が進行中だ。ダムができようと、できまいと、吾妻線は道路同様に変更になる。

ダムは誰のために、何のために建設するのか、中曽根案件とか、福田案件、その後は小渕案件などと言われてきたが、これも政争の具となって、本来の目的を見失ったような気がする。

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