原子力事故

朝日新聞の朝刊に、東日本大震災6カ月特集として、原発事故についての記事が、4ページにわたってある。東京と原発現場の動きが時系列に記録されており、非常にわかりやすい。

それにしても、3月12、13日ごろは、あまりに悲惨な大津波の様子を、実況で見たため、原発の事故についての映像があまりなかったせいもあり、そんなに大変なものとは思わなかった。

たしか、テレビなどでの報道も、事故(accident)なのか、不具合(incident)なのか、とか事故としてもレベルは低い、スリーマイルアイランドの事故よりも低いレベルですむだろう、チェルノブイルの事故みたいにひどいものではない、といった楽観的なものだったと記憶している。

30年くらい前、フランス電力公社(EDF)の年次報告を翻訳していたことがある。その時、事故と不具合といった区別を知ったのだ。なるべく事故扱いにはしないという、特に原子力ではそのような傾向があったようだ。

今朝のニュースで、フランスでも原子力施設で事故があったという。マルクールという施設は訪れたことはないが、そばを通ったことは何度かある。
今回の事故は、低レベルの廃棄物を焼却する施設で起きたとか、そして、もう即日には、事故終結とされたとか、原子力事故(accident nucleaire)ではなく、産業事故(accident industriel)に分類されるもの、という政府発表らしい。

原子力施設で起きる事故は、原子力事故と思っていた。一般の産業事故に分類されるとは思わなかった。こういったことは、専門家が都合のいいように専門用語を決めていく。

当初は軽微なものと思っても、よく調べたり、時間を追って、重大なものになりがちだ。原子力あるいは放射能という、人間の力で制御が難しいものを、いかにも制御可能なものとして、扱ってきたつけがきたのかもしれない。

日本政府も、この事故を楽観視することなく、住民の方々の気持ちはわかるけれど、冷静かつ客観視した分析をして、それに基づいた決断をした方がいいのではないだろうか。つまりたとえば原発50キロ以内は非居住区域にして、個々の移住なり集団移住なりをする。明治の屯田兵的移住を考える、といったやり方をとるべきかも、と愚考しているのである。

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