ディアスポラ

ディアスポラとは、離散したユダヤ人のことを言うが、彼らは2000年の歴史を経て、イスラエルの国を建国することができた。

今、福島県は、原発の周囲の市町村民が同じ境遇に陥りつつある。一時的な避難とは違い、ある程度長期間にわたる避難である。いつ戻れるのか、政府は原発が安定すれば、一定の期間をおいて帰れるようなことを言っているが、どうだろう。

放射能汚染の問題がある。水素爆発によって飛散した放射能物質、あるいは、その後の汚染、どの程度の残量があるのか、どの程度の期間で減少していくのか、まだはっきりしていない。

三宅島は3年の避難を強いられたのち、帰島が許されたが、フクシマはどうなるのか。三宅島のように、島という境界がはっきりするところでは、帰属意識が高かったと思われるが、フクシマの場合、故郷の記憶はどのくらい残るのだろう。北方領土のように、60年を超えても、まだ帰島を望む人たちがいるが、陸地の移動も簡単な土地にあって、他の土地との差もあまりたいしたことがないとすれば、ディアスポラの意識を持ち続けることは難しいのではないだろうか。

故郷とはなんだろう。父母のおわしますところ、父母が亡くなったところ、幼児期をすごしたところ、いろんな考え方があるだろう。
私にとって、生まれ、育ったところを故郷と思っているが、今、そこへ移り住む気持ちはない。しかし、死後を考えると、たとえ、お参りしてくれる人はいなくても、故郷の地に葬られたい、と思ってしまう。

おそらくフクシマの、避難を余儀なくされている人たちも、そのような思いが強いのではないか、と想像している。
1日も早く、生きている間に故郷に戻れることを祈りつつ。


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