臍の下

私の住む群馬県の知事が面白い。つい最近、7月3日に再選されたばかりなのだが、話題をいろいろ提供してくださる。
一つは、最初立候補したとき、知事の退職金は高すぎる、払う必要がないといって前職を破った。ところが、1期目については退職金をもらわないが、2期目についてはもらうことにする、のだそうだ。当選してからの発言、エーッと思った。選挙中にその発言を聞いていれば、投票を考えたひともおおかったろうに。

2つ目は、女性問題である。週刊誌の見出しと、インターネットの短い記事だけなので、真実がどうなのか、さだかではないのだが、私が問題にしたいのは下記の点である。
1)公邸に住んでいなかった。普段は太田市の自宅から通っていて、夫人はそっちにお住まいのようだ。ときどき公邸を使用しているらしい。東京都知事の松濤にある公邸もそうだったが、使用しないものを維持していく費用たるや大きい。ましてやときどき使うとなると、その管理は常にしておかなければならない。住むかすまないか、どっちかにして、住まないのなら、売却してしまえばいい。

2)女性は、なんとかという公団の職員で、事務連絡のために来たのだそうだ。こういったことは21回あったという。公邸に呼び寄せて報告させる内容は何だろう。なぜ、日中、県庁に呼ばないのか。

3)「女性を泊めたのは事実だが、家族ぐるみの付き合いで、愛人ではない」という釈明会見があったそうだ。
家族ぐるみの付き合いというのは、仕事上の付き合いというより、私的な付き合いが強いということだろう。そんな関係者を公邸に泊めるべきではない。ましてや夫人が不在の場所である。

4)最初の弁明では、報告をお酒を飲みながら聞いていて、つい眠ってしまったということだ。そんな仕事のやり方があるか!!その女性は、知事が眠り込んだなら、警備の人間にその旨言って、帰ればいいのだ。

5)公邸の使い方に、もっと規律をもってほしい。

などと書いてきたが、日本での女性スキャンダルはどの程度の重みがあるのだろう。以前、ある首相は女性スキャンダルのせいで、3か月でその職を失った。
現首相にしても、まだ民主党政権でもなかった時代に、女性スキャンダルがあったはずだし、前首相もしかりである。

フランスでは、臍の下には人格がないといって、あまり問題にしないようだ。歴代大統領の中には、エリゼ宮で、腹上死した人もいるし、朝帰りしているときに、事故を起こして、それがばれた大統領もいる。ミッテラン大統領は、愛人とその間に生まれた娘を、大統領公邸に住まわせていた。記者がそれを聞いても、"Et alors?"という有名なせりふでおしまいだ。シラク前大統領は、隠し子が日本にいる、といううわさが昔から流れている。

このごろ、IMF(国際通貨基金)専務理事のドミニク・ストロース=カーン(DSK)氏が、ニューヨークのホテルで、メイドを強姦したというので、拘束され、結局、その職を辞することとなった。当初は、DSK氏に大変不利な状況で、8000万円の保釈金とか、電子ブレスレットをつけ、移動の自由がないとか、いかにも性的犯罪者として扱われていた。
ところが、最近、被害者の証言にあやしい部分がでてきたとかで、はたして強姦という行為があったのかどうか、疑わしくなってきた。

もし、これが偽りであったら、DSK氏の失ったものへの賠償はどうなるのだろうか。彼は、来年のフランス大統領選挙の有力候補だったのだ。夫人はこの事件発生から、常に夫のそばに付き添っていたし、巨額の保釈金も夫人が用意したという。しかし、結婚指輪をはずしている、という写真が昨日のインターネットに載っていた。

これがフランスでだったら、こんなことにはならないと、フランス人は言う。フランスでは、贈賄とか脱税とか、お金がからんだスキャンダルには厳しいが、臍の下はね、というのが実際のようだ。

イタリアのベルルスコーニ首相にしても、未成年の女性を買春したというのに、まだ首相の座にすわっている。大スキャンダルなのに、と思うのだが。

群馬県知事も、こんな話題で扱われるようになるなんて、華やいだのか、グローバル化しているのか、と思う人はいないだろう。

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