水道水

水道水への不安が広がっている。水のボトルは売り切れ状態なのだそうだ。それが東京のみならず、東京から100キロ以上離れている群馬県でもそうなのだという。

安心して飲めないというのは、困ったことだ。「水と安全は保障されている」のが日本だと思っていた。わが村の水は以前はおいしかった。わざわざボトルにいれて、東京に持ち帰ったこともあった。しかし、このごろは含有物が多いのか、加湿器などに使った時、滓が残る。つれあいはそれをいやがって、ボトルの水を飲料に使っている。

パリ郊外のヌイイにある知人宅、フランス旅行の時、いつも泊めていただく。その家では、以前、公園にあるフォンテーヌから水を汲んでいた。しかし、ワールドトレードセンターのテロ以来、毒をいれられる可能性があるというので、使用禁止になった。以来、その家は水道水を飲んでいる。

パリの水道は、一応飲用可(potable)である。が、硬水で、石灰分が多く、あまり口当たりはよくない。高齢者には、足に血管が膨れ上がっている人が多い。それは水道水を飲んで、石灰分が固まっているからだという。
ヌイイの家では、健康問題に注意深い娘がくると、ミネラルウォーターのボトルが食卓にでるが、それ以外は水道水がボトルに詰められている。自分で買ってくるのも悪いようで、水には苦労する。

フランスでは30年ほど前、水道水でも飲料可(potable)と不可(non potable)があって、地方の電話帳に載っていた。ときどき、どの県のどの町の水道は飲めますか?といった問い合わせを受けたこともあった。現在ではほとんどが飲料に適しているようだ。でもフランス人はよくミネラルウォーターを買う。ハイパーマーケットなどの水ボトル売り場をみると、こんなに種類があるものかとびっくりだ。ちなみに私は、フランスのミネラルウォーターで好きなのはヴォルヴィックである。

アフリカのコンゴ・キンシャサでは、水道水は飲料にはできなかった。というのは外国人にとってで、地元の人たちはそのまま飲んでいた。少し茶色に色付けされていて(浄水が完全でない)、バスタブにためるとそれがはっきりする。ろ過して、煮沸して、それでも飲まない。消毒用塩素(EUの援助)がなくなると、断水になった。

今度のような大気や水への放射性物質の汚染となると、水道水のみならず、たとえば湧水あたりもあやしくなる。煮沸してもだめというと、ためおいて、放射性物質が減少していくのを待つか、そのうち、水が腐っていきそうだ。

東京に住む甥は、1歳半の子と母親を九州に疎開させた。過度の心配と言えるかどうか、これからの福島第一原発の制御にかかっている。

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