母の嘆き(小林多喜二の母)

チュニジアに始まった革命の炎は、エジプトで燃え上がり、またイエーメン、ヨルダン、リビアなどへと飛び火している。

これらの国々は、強権政治あるいは独裁政治で知られている。独裁政治を維持するには、秘密警察が必要だ。

日本では今や秘密警察は存在しないと思うが、戦前には、特高と呼ばれる秘密警察が存在した。思想犯や治安維持法に反すると思われる人々が、逮捕監禁され、拷問も行われた。

2月になると、悲しい詩を思い出す。それはプロレタリア作家として「蟹工船」でも知られる小林多喜二の母親の詩だ。

あーまたこの2月の月かきた(あーまたこの2月の月がきた)
ほんとうにこの2月とゆ月か(本当にこの2月という月が)
いやな月 こいをいパいに(いやな月 声をいっぱいに)
なきたい どこいいてもなかれない(なきたい どこにいても泣かれない)
あーてもラチオてしこすたすかる(あー でもラジオですこし助かる)
あーなみたかてる(あー涙が出る)
めかねかくもる(メガネが曇る)
(新潮社日本文学アルバム「小林多喜二」)

なぜ2月がこんなにつらいのか、それは拷問の挙句、ぼろぼろに傷ついた多喜二の遺体が、母セキのもとにかえされたからだ。

今、革命進行中の国々は、秘密警察が強力な権力をもっていることでも知られている。どんなに多くの人々が、とらわれ、拷問を受けていることか。

この2月に多くのセキが涙を流していることだろう。

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