本当の親はだれ?(5)

2010年2月の朝日新聞に、「性同一性障害」で、女性から男性に戸籍上の性別を変更した夫が、第三者の精子を使う「非配偶者間人工授精」で、妻との間に子供をもうけたが、「嫡出子」として戸籍にのせることを、拒否されたという事件について、法務省が他の6人の同様のケースとともに、「嫡出子」として認める方向という記事があった。

そしてやはり朝日新聞2010年10月末の衆議院の井戸議員の「私の視点」欄への投稿で、まだ認められていないような記載がある。

この事件は、女性から男性へと変わった夫、この性別変更が戸籍に記載されているので、夫が生物学的な父でないことがわかる。だから「婚姻中に懐胎した子は夫の子とする」という民放第772条1項は適用されない、というのだ。

男性でありながら、無精子症などで子ができず、他人の精子を使って妻が妊娠し、子が生まれた場合、それは嫡出子として受理されるのに、と矛盾をついている。

アダムとイヴしかいなかった時代ならともかく、現在はこの「性同一性障害」による性転換、そして戸籍の変更が認められている。このほか、インターセックスというどちらの性とも判断しかねる存在もあるのだそうだ。

先にもどって、野田議員の子が将来、自分の生物学上の母を求めることも起こりえよう。野田議員は、正直に子には話すということだ。生物学上の母を探すことが可能なようにしているのだろうか。


「出自を知る権利」、これも複雑だ。フランスでは「匿名出産」といって、母親の痕跡を残さず出産をし、生まれた子供は行政により戸籍が作られ、だいたいが養子縁組を経て、養い親にひきとられる。実子として育てられるが、いづれは養子であることを話すようだ。

フランスの知人夫妻は、子供ができないことから、この匿名出産による赤ちゃんを、時をたがえて2人養子にしている。経済的にも恵まれ、夫婦仲もよい申し分のない家庭で育てられたにもかかわらず、娘と息子は、それぞれ、自分が実子ではないと知ったときから、自分たちの出自を調べたという。しかし突き止められなかったようで、捨てられた子としてのトラウマになったようだ。

子供がどういう心理状態になるのか、出産時あるいは養子縁組時からわかるはずもないが、簡単にいかないだろうことはわかる。これからは「本当の親はだれ?」と問う子が増えていくことだろう。

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