刑務所について

フランスのマルセイユに住んでいた時のことである。街の中心地から自宅まで、バスを使うことがしばしばあった。2つのルートがわりと自宅近くまで行く。その一つはボーメット行きであった。ボーメット行きのバスを使っているというと、知人たちが「フ、フ、フ」と笑う。

最初はどうして笑うのか、理解できなかった。自家用車で移動するのが普通の世界で、公共のバス(使い勝手の悪いものだった)を使っているのがおかしいのかな、と思ったが、ある日、ボーメットというのが地名でもあり、そこに刑務所があることを知った。

フランスではパリのサンテ刑務所と並び称せられるほど、有名な刑務所なのだそうだ。一度だけ、好奇心で終点のボーメットまで行ったことがある。高い塀で、その上には鉄条網もはりめぐらされており、なかなかいかめしい建築物であった。それでも門のところで人の出入りがあるので、不思議に思ったが、面会を許された家族が出入りしているのだそうだ。

広島の刑務所も街中にあったけれど、ボーメット刑務所や、パリのサンテ刑務所の周囲にもけっこう建物がたてこんでいる。
フランスでは、脱獄というのは、大掛かりでたびたびおきる。ヘリコプターで脱獄した例など、映画のシーンのようだった。

脱獄の例でいけば、マルセイユにはイフ島がある。港の中の小さい島だが、牢獄があった。ヴィクトル・ユーゴーの小説「岩窟王」の舞台の島だ。エドモン・ダンテスが神父様のもとへ通ったという穴もあり、またフランス革命やその後の政治犯が収監されたという部屋もある。歴史が実感される島である。死亡した神父の遺骸にかわって、ダンテスが砦から海に投げられるというシーンもあるが、周囲は岩ばかりで、砦から投げられるというのは、ちょっと疑わしかった。

カンヌから船で15分くらいのところには、鉄仮面が収容されていた島もある。また、南米には仏領ギアナに、凶悪犯を収監する島があった。脱獄は不可能といわれていたが、映画にもなったが、「パピヨン(蝶)」と呼ばれる男性がついに脱獄したこともある。

今回の中国人の脱獄は、きちんと計画されたものかと思ったが、そうではなかったようだ。中国マフィアという存在があるのかないのか、今回の脱獄劇では少なくともその介入はなかったようだ。
外国では、刑務所にはいっても、脱獄は常に考えているとか、日本の性善説:刑期をきちんとつとめて、一日もはやく仮釈放にしてもらう、という考えは通じないようだ。
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