国家元首と政府首脳

先進国首脳会議、サミットがフランスのドーヴィルで行われている。首脳には2種類ある。国家元首と政府首脳だ。ここでは、国家元首は、主催国フランスのサルコジ大統領、アメリカのオバマ大統領、ロシアのメドベーチェフ大統領の3人だ。他は、日本、ドイツ、イギリス、イタリア、カナダ、すべて政府首脳、首相である。

このような国際会議の場合、外交儀礼(プロトコール)ははっきりしている。国家元首が国力があろうとなかろうと、政府首脳に先行する。首相はどう順位が決まるのか、GNPによるのか。これは着任した順になる(大統領も同様)。だから日本のように、1年で交代し、常に新人の場合、最下位に位置するのだ。

菅首相は、うるさい国会から離れて、華やかな外交の場であるサミットに嬉々として出発した。首脳たちは、サミットが大好きなようだ。大体が自国では問題を抱え、うるさく責められていても、サミットにくると、議題はすでにシェルパたちが整えており、社交的であればいい。

それに儀礼的に、スキャンダルなど無視してくれる。たとえば、イタリアのベルルスコーニ首相など、未成年者を買春していた疑惑で、起訴されている。こんな話題はまさか、食事の場でも出されないだろう。サルコジ大統領の夫人が、妊娠中で、10月に出産予定とか、これはおめでたいニュースだから、話題にのぼるかもしれない。

日本はアジアの代表ということを言うが、孤独な存在だ。ロシアは別だが、他の国々は、ヨーロッパならEU,アメリカ、カナダはNATOのメンバーだから、常々、首脳会議で顔を合わせる機会がある。お友達的存在になっている。日本だけが新参者で、雑談のなかに入れないかもしれない。

集合写真(photo de famille)をとるときも、占めるべき場所は決まっている。中央は議長国、右、左と国家元首が占める。首相の場も決まっているのに、一人、日本の首相でずうずうしく、それを無視した人がいる。中曽根氏である。彼は、レーガン大統領にしがみついて、とうとうそのままの場所で写真に収まった。

大統領と首相の差は大きい。東京サミットでは、フランスからミッテラン大統領とシラク首相が出席した。フランス国内においては、国民議会選挙でRPRが勝利し、共存政権が誕生した。ミッテラン大統領は実権を失い、シラク首相が表舞台で演じていた。だから、自分が外交も担当するつもりで、シラクは東京に乗り込んできたのだ。

しかし、サミットにおいて、国内事情は考慮されない。首脳だけの会議には出られず、記者会見でも脇役にとどまり、シラクは恥をかきにきたようなものだった。

菅首相は、なにかほかの国の首脳に感銘を与えられるだろうか。できれば、原発廃止をうちだしたドイツの首相としっかり話して、進路をさぐってほしいのだが。

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