4月の魚(poisson d'avril)

今日は3月31日、年度末の日です。旧年度にお別れのためでしょうか、雪が降っています。別れ雪、名残雪なのでしょうか。

明日は4月1日、エプリル・ルールです。フランスではポワッソン・ダヴリル(4月の魚)と呼びます。わからないように、魚の絵を背中にくっつけたりして遊びます。「だますこと」が公認の1日です。「だまし」て「笑う」ことができます。「嘘だよ」、「冗談だよ」と言ってすませられる一日です。

五輪真弓の歌に「恋人」というのがあります。大好きな歌です。歌詞のなかに「この別れ話が冗談だよと言ってほしい」という文句があります。この歌がでてきたころ、恋人との別れたばかりだったので、この通りに言ってくれればいいのに、と思ったりしたものです。

3月11日14時26分、それから今日までのことが、冗談だったと、すべて消え去ったら、どんなにいいだろうと、4月1日を前に思うのです。津波で亡くなられた方、行方不明になられた方たちが、笑顔で戻ってきて、「いやー、ちょっときつい冗談だったかね」と言ってくださるのなら、どんなにいいか、と。

でも厳しい現実です。どんなに魚の絵を背中にくっつけてみても、「嘘ごと」にはなりえません。「うそ」として笑えるのは、とるにたらないことだけです。

金子みすゞの「雪」という詩です。
誰も知らない野の果てで
青い小鳥が死にました
さむいさむいくれ方に

そのなきがらを埋めよとて
お空は雪を撒きました
ふかくふかく音もなく

人はしらねど人里の
家もおともにたちました
しろいしろい被衣(かつぎ)着て

やがてほのぼのあくる朝
空はみごとに晴れました
あをくあをくうつくしく

小さいきれいなたましひの
神様のお國へゆくみちを
ひろくひろくあけようと。

雪がやみました。午後3時41分です。
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